「OCR」ってなに?メリットや活用時の
注意点
などを解説
中堅以上の企業規模になると、事務作業におけるデータ入力や紙媒体資料の管理が煩雑になってきます。こうした業務を効率化する手段として、紙面の情報をPCで読み取れるデジタルデータへ変換する「OCR」と呼ばれるシステムが注目されるようになりました。しかしOCRについてまだ詳しく知らないという人も多いでしょう。そこで本稿ではOCRのメリット・注意点・導入時のチェックポイントなどを紹介します。
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1.注目のシステム「OCR」とは
OCRは「Optical Character Recognition(Reader)」の頭文字を取った略称であり、日本語では「光学的文字認識」と訳されるのが一般的です。具体的には手書き資料や印刷物の文字をスキャナーなどで読み取って、PC上でテキストデータとして管理できるようにする技術のことを指します。OCRは企業が「ペーパーレス化」や「働き方改革」といった施策に取り組むようになった現代社会で、改めて注目されるようになった技術ですが、その歴史が始まったのは1968年のことでした。1968年は郵便番号制度が導入された年であり、膨大な郵便物を局内で仕分けるための手法として、アナログの郵便番号をデジタル化するOCRシステムが製品化されたのです。
事業用として活用されていたOCRシステムですが、1980年代に入ると個人事業主レベルでも普及が進みます。データ入力業務削減や保管スペース節約など、紙媒体の書類が抱えていた諸問題の解決に貢献するようになりました。また、OCRはより利便性を向上させるために、先端テクノロジーとの融合も模索されています。その一例が人工知能とOCRを組み合わせた「AI-OCR」であり、今後の積極的な活用やさらなる製品品質の向上に期待が高まっています。
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2.OCRが文字をデータ化する流れ
一瞬で文字をテキストデータへ変換しているように見えるOCRですが、実際はスキャニングだけでデジタル化が完了している訳ではありません。一般的なOCRでは5つのステップを踏んで文字をテキストデータに変換しているのです。まず最初はスキャナーを使って書籍・書類などの文字を画像として取り込みます。この時点ではOCR処理は行われておらず、あくまで下準備を整えているイメージです。第2ステップでは画像の中から文字列を特定して分離する作業を行います。OCRと呼ばれる作業は事実上この段階から始まるので留意しておきましょう。通常、ビジネス用の書類や一般書籍では、文章を読みやすいようにある程度のかたまりで区切る「段組」が行われていることから、まずは解析対象の文字列を抽出し、どの部分を文字として処理すべきかを明確にします。
画像と文字列の分離が完了したら、第3ステップは文字列を文字として認識するために分解していきます。文字列を1行ずつに分解しつつ、1文字ずつへの分解も実行します。その後、切り分けた文字を1つずつソフト内のデータと照合して、何の文字なのかを判別していくのが第4ステップです。最終ステップでは変換されたテキストデータをファイルとして出力します。対応している出力形式はソフトによって異なりますが、一般的に使用頻度の多いExcel・Word・PDFなどは多くの製品で標準対応です。
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3.OCRを導入することによって見込めるメリット3選
OCRの導入によって期待できるメリットはさまざまですが、代表的なものとしては「業務効率化」「書類の保管スペース削減」「データの検索性向上」の3つが挙げられます。ここではそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット1 業務の効率化
請求書や領収書を紙媒体として取り扱う場合、手作業でPCへのデータ入力を行うため、多くの手間や時間がかかってしまいます。OCRはデータ入力作業をシステムが代行してくれるため、業務効率化に効果が期待できる点が大きなメリットです。日本では少子高齢化の影響で働き手不足が問題となっており、限られた人的リソースを有効活用することが求められています。OCRによって単純なデータ入力作業が自動化されれば、浮いた分の人的リソースと時間を、売上・業績に直結するコア業務やクリエイティブな作業へ回せるようになるでしょう。
手作業でデータ入力を行っていると、数値の誤入力や入力忘れといったヒューマンエラーのリスクが付きまとうのも悩みの種です。OCRであれば紙面をスキャンすることで、こうしたエラーを回避できるのも利点と言えます。仮に修正が必要になった場合でも、OCRなら最低限の作業で済むので負担が少ないのです。例えば紙媒体のビジネス文書を修正する場合は、段落・表・グラフ位置など各箇所すべてを書き直した上でプリントアウトし直す必要があります。OCRでテキストデータ化された文書は、ExcelやWordなどのソフト上で修正作業することが可能です。デジタルデータなら修正箇所をピンポイントで直せるだけでなく、段落のズレは自動修正され画像位置も簡単に調整できます。
メリット2 書類の保管スペース削減
紙媒体を使用していて、書類の保管スペースに頭を悩ませているという事業者も多いでしょう。書類は経営年数が長くなるほどに増えていくため、いずれは保管スペースが事業所内を圧迫することが予想され、スペースが足りなくなる恐れもあるでしょう。OCRの導入は、こうした物理的な保管スペースの削減にも有効です。OCRは段ボール1箱分の書類データを、例えば数MBに収めることが可能で、画像データよりも少ない容量(約700分の1)に圧縮できます。書類キャビネットや資料室といった保管スペースを必要としないため、社内空間を有効活用できるようになるでしょう。また、デジタル化されたデータは経年劣化することなく、他の書類にまぎれて紛失といったリスクもありません。大切な情報を安心・安全に管理しやすいというのも、OCRによる恩恵と言えます。
メリット3 データの検索性向上
書類の数が増えれば管理業務も煩雑になり、必要な書類をすぐにピンポイントで取り出すことも難しくなる可能性があるでしょう。書類を探すのに時間がかかると、業務生産性や顧客満足度低下の原因になりかねません。ペーパーレス化という意味では書類をスキャナーで取り込むだけでも実現できますが、それだけではファイルを開くまで具体的な内容が分からないという問題が発生します。解決策としてはファイル名を付けて管理するという方法がありますが、各ファイルに名前を付ける手間がかかります。また、検索時に類似するファイルが大量にヒットしないよう、ファイル名のバリエーションを考える必要性も出てくるでしょう。
OCRで書類をテキストデータ化しておくと、中身の文字列も細かく記憶しておくことができます。キーワードで直接ファイルを検索できるようになるため、探したい書類の関連キーワードを入れるだけで書類の発見・引き出しが完了するのです。国税関係の帳簿や書類の電子保存を認めた電子帳簿保存法(電帳法)では、ペーパレス化の実用性を考慮して「検索機能の確保」が要件に設けられています。OCRはその条件にも適応しており、法令順守の観点からも有意義となっています。
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4.OCR活用時の注意点
OCRは上記の通り多くのメリットが期待されているシステムですが、完璧という訳ではありません。場合によっては文字認識に失敗したり、人の目によるチェックが必要になったりというケースもあるので注意しておきましょう。以下では、OCRを最大限に活用するための注意点について解説します。
文字認識に失敗する場合がある
OCRの使用時は、文字認識の失敗に注意を払っておくようにしましょう。日本語は世界的に見ても難しい言語に分類されるため、システム上でも誤認識が発生する可能性があるのです。例えば英語の場合、アルファベットと数字が認識できればある程度正確に文字列を把握することができるでしょう。一方、日本語はひらがな・カタカナ・常用漢字など、さまざまな種類の文字が混在して文章が形成されるので、他の言語よりも誤認識が発生しやすいと言われています。特に「太」と「大」、「ぺ」と「べ」など見た目の違いが少ない文字はシステムが判別しにくいので注視するようにしてください。
手書きの場合は汚い文字も読み取りに失敗しやすいので注意が必要です。文字が崩れ過ぎていたり汚れていたりすると、何を指す文字なのかOCRがデータベースと照合できません。OCRは利便性の高いシステムとして評価されていますが、どんな文字でも完璧に読み取ってくれる万能機器ではないのです。また、読み取り対象物のレイアウトによっても誤認識が発生するケースがあります。例えば罫線・表が多いビジネス書類などは、OCRが縦線や横線を文字として誤認識する可能性があるでしょう。誤認識の可能性が高そうな書類はあえて手入力するなど、運用方法を工夫してみてください。なお、OCRは対象物の文字・レイアウトに問題がなくても、対象物が傾いた状態でスキャンすると誤認識することがあります。スキャン前に書類をまっすぐ整えるだけでも、読み取り精度が高まります。
最終的には人の目による確認が必要になることも
先に述べたように、OCRには多少なりとも誤認識のリスクがあります。対象物の状態やスキャン時の状況を考慮した上で、必要に応じて人の目である程度の校正作業を実施するのが望ましいと言えるでしょう。まったく校正作業を実施しないと、誤字だらけで使い物にならないテキストデータが溜まってしまうリスクもあります。特にOCRでデータ化した後に書類の原本を廃棄する場合は、再スキャンができないので、ダブルチェックなど厳重な体制をとっておくと安心です。OCRを導入してしばらく運用していると、どのような状態・状況で読み取りに失敗しやすいのか、ある程度把握できるようになってきます。統計を取りながらOCRの弱点を補っていけば、システムを最大限に活用するための方法も見えてくるでしょう。それは人間の校正作業をあまり必要としないOCRの使い方にもつながっていきます。
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5.OCR機器を導入する際のチェックポイント
OCR機器はさまざまなメーカーがリリースしているため、導入する際はポイントを見極めて製品を選ぶことが大切です。具体的にはここで解説する「文字認識の性能」と「出力形式・連携の有無」を基準にしてみてください。
文字認識の性能
OCRを自社事業で有効活用するためには、できるだけ文字を正確に読み取ってくれる製品が望ましいです。文字認識の性能は提供しているメーカーの機器・サービスによって異なるため、導入前にしっかりチェックしておくように心がけましょう。文字認識の性能が低いものは修正作業が増える要因となるため、利便性や業務生産性が落ちてしまうリスクが高まります。また、OCRがどんな書類の読み取りを得意としているのかにも注目してみてください。例えば請求書やレシートなどを読み取る機会が多いのであれば、罫線や複雑な表でも正確に認識してくれるOCRがおすすめです。OCRはメーカーや製品によって読み取り可能な帳票の種類が異なります。業務で取り扱う帳票の種類が多岐に及ぶ場合は、「定型書類全般型」のOCR機器をチェックしてみてください。
出力形式・連携の有無
OCRでデータ化した書類は、社内のさまざまなシーンで活用されることになります。したがって、自社で利用する拡張子に対応している製品を選ぶことが前提となるので留意しておきましょう。OCRの出力形式はテキストやCSVなどが基本ですが、製品によっては運用シーンを考慮して、さまざまな拡張子に対応しています。例えばビジネスシーンでの使用率が高い「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」「PDF」などに対応している製品が多いです。また、後々の拡張性を考慮するのであれば、OCR機器やサービスから他のアプリケーションに連携できるかどうかも大切なポイントです。事業が拡大していけば業務システムも複雑化していくため、アプリケーション同士の親和性・連携性がカギになってくるでしょう。
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6.より便利なAI-OCRとは
本稿の最初でも軽く触れていますが、OCRは年々進化を遂げておりAI(人工知能)の技術を採用した「AI-OCR」が特に注目を集めています。AI-OCRは反復的な機械学習によって精度を高める人工知能とOCRを組み合わせることで、より一層高度で正確な文字認識を可能にしたものです。例えば手書き文字の読み取り精度向上や、カタカナの「ロ」と漢字の「口」など判別が難しい文字を集積データの傾向から判断することができます。本来、手書き文字の読み取りを苦手としていたOCR製品の弱点を見事に克服しているのです。機械学習を繰り返していけば、複雑な文章パターンにも対応可能になってどんどん精度が向上していきます。
通常のOCRは固定されたテンプレート・フォーマットに基づいて原稿データを解析するのが基本的な原理となっています。その場合、レイアウトが異なればその分だけテンプレートの数が必要です。その点で言うとAI-OCRは人工知能の力で文章の内容を分析するので、人間の手を加えずともデータの処理・加工において、さまざまな調整を自動的に行ってくれます。さらに、AI-OCRはクラウドサービスや業務システムとの連携も可能となっているため、自社の既存システムに組み込みやすく、スムーズに導入できるOCRとしての側面もあるのです。
7.OCRの導入をご検討ならSGシステムにお任せ
OCRは業務効率化が期待されており、働き方改革にもつながるシステムとして導入する企業が増えています。手書き文字の認識が苦手とされていたOCRですが、AI-OCRの登場で弱点も克服しつつあるのです。OCRの導入に興味が湧いたら、SGシステムに相談してみてはどうでしょうか。同社は手書き文字や非定型書類に対応した、より高精度なAI-OCRシステムを扱っており、顧客の現状や環境を調査した上で最適なソリューションを提案しています。最新のAI-OCR技術を活用して文書管理を効率化していきましょう。
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