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物流効率化はどう実現する?具体的なアプローチ事例をご紹介

2024/10/17
  • 倉庫管理・改善
  • LOGI-IT
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ドライバー不足やEC市場の成長によって、元々多忙だった物流業界は、現在さらなる重い負担を背負い込んでいる状態です。この現状を打破するためには配達や倉庫管理などの効率化が必須ですが、それもスムーズにいかないのが現実。本稿ではまず物流効率化の必要性について整理し、そのメリットや具体的なアプローチ事例について解説します。国土交通省が推進する物流効率化についても触れるので、ぜひ参考にしてみてください。

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1.物流効率化を行うべき3つの理由

いきなり効率化に取り組む前に、まずはなぜ物流を効率化すべきなのかを整理しましょう。理由が分かっていれば取るべき行動も自ずと分かってくるからです。効率化が必要とされる主たる理由としては「ドライバーの深刻な人材不足」「EC市場拡大による配達量の上昇」「積載率減少・再配達の増加」の3つが挙げられています。個々の理由について深掘りしていきましょう。

ドライバーの深刻な人材不足

まずはドライバーの数が不足しているという理由です。現在日本では多くの業界で人手不足が叫ばれていますが、これは物流業界でも例外ではありません。令和4年に全国トラック協会が実施した調査によると、労働力に何らかの不足を感じている企業は5割を超えており、今後この数字はますます増加していくと考えられています。全体的な人手不足はもちろんですが、特に若者の確保は喫緊の課題となっています。ドライバーを確保できない理由は、なり手がいないからです。トラックドライバーは全産業平均と比較すると、年間労働時間が約2割長いと言われています。拘束時間が長いため、辛い仕事だというイメージがどうしてもついて回ります。

また、肉体労働である点も人が集まりにくい理由になっています。オフィスワークと異なり複数人でフォローし合うというスタイルが取りにくいのも相まって、体力に自信がない人や女性はなかなか仕事の選択肢にトラックドライバーを含めません。さらに、上記のような状態にも関わらず、他業種と比べて給料が低い傾向にあるため、余計に人手が集まらないというのが深刻な人手不足の原因になっています。

加えて、すぐにでも効率化を進めるべき理由が、急速に進んでいる少子高齢化です。ドライバー業界は現在中高年層のドライバーが支えている状態ですが、今後これらの世代が定年を迎えると、人手不足はさらに加速することが考えられます。既に5割を超える企業が労働力に不足を感じ、人のやりくりに苦労している現状を鑑みても、物流の効率化は今すぐにでも推し進めなければならないのです。

EC市場拡大による配達量の増加

インターネットの発達により、EC(電子商取引)市場は大きく拡大しました。また一人一台スマートフォンを持つことが当たり前になった現代は、いわばいつでもどこでも買い物ができる環境です。ショッピングだけではなく、フリマアプリやオークションサイトなどの個人間取引も広まっています。便利になった反面、注文した商品を実際に運ぶ物流業界の負担が大きくなっています。一昔前は、ネットショッピングと言えば店舗にない商品、ネット限定の商品が主軸でしたが、現在はスーパーやドラッグストアなどで日常的に購入していた日用品をインターネット経由で購入するという人も増えてきおり、個人宅への小口配送件数が増加しているのです。

小口配送は大口配送よりも多くの人手が必要になります。また、配送会社同士が送料無料、休日・夜間配達などのサービスを競うようにして展開しているため、現場の負担は年々増加の一途を辿っています。国土交通省の調査によると、新型コロナウイルス感染症が拡まり巣ごもり需要でECサイトの利用頻度が高まった2020年度には、宅配便の取扱個数は前年比11.9%増と一気に延び、その後、2021年度も前年比2.4%増と増加傾向が続いています。こうした状況を鑑みると、やはり物流効率化によって現場の負担を減らすことが必要だと言えるでしょう。

積載率の減少・再配達の増加

膨大な量の小口配送をどうさばいていくかは、物流業界の大きな課題になっています。個人宅へ配送する場合、たとえ届ける荷物が少ない量でもトラックを出さなければなりません。結果、多くのトラックは積載率が不十分な状態で稼働していると言われています。国土交通省の調査によると、2010年代の営業用トラックの積載効率は4割と言われており、現在もその状況は改善していません。そして、積まれている荷物が少なくても、トラックを出せば当然同じだけ燃料費と人件費はかかります。積載容量いっぱいになるまで配送を待てばこのロスは解消できますが、「注文翌日配送」「即時配達」などスピードが重視される現代では、効率より速さを優先せざるを得ないのです。

再配達も大きな課題になっています。一昔前であれば「家に誰かがいる」という状況は当たり前でしたが、単身者世帯・核家族・共働き家庭が当たり前になっている現代では、荷物を運んでも受取人がいないという状況が珍しくないのです。国土交通省の令和4年10月の調査によると、再配達率は全体の約12%に上り、特に都市部で高くなっています。令和5年4月調査ではやや数字が下がったものの、再配達がドライバーの大きな負担になっていることに変わりはありません。再配達率は発送件数以上にドライバーの負担になっていると同時に、トラックの稼働時間が増えることで排出するCO2が年間25万トンも増加するため、環境問題にも影響を与える課題となっています。こうした困難な状況を打破するために、物流効率化に向けての思い切った施策が求められています。

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2.物流効率化によって期待できるメリット

原因を踏まえた上で、物流効率化によってどのようなメリットがもたらされるかを考えてみましょう。第一にコストカットによって物流企業の経営が上向きになるという点が挙げられます。倉庫の管理コスト、スタッフの人件費、燃料代や配車費用など、物流業務ではさまざまなコストが発生します。これら全てを改善するのは並大抵ではありませんが、コストが発生する箇所が多いということは改善点が多いということです。少しずつでも全体を効率化することで出て行くお金を抑えれば、企業の利益がアップします。

現場の負担を減らせるというのも大きなメリットです。物流効率化によって現場担当者の作業量を減らすことができれば、余裕を持って働くことができます。例えばシステム導入によって管理・確認作業を自動化したり、一部業務をアウトソーシングすることで、作業時間や人的ミスを減らすことが可能になるでしょう。業務が効率化することで必要なスタッフが減れば人件費カットにつながりますし、労働環境が改善され働きやすい職場になれば就業希望者が増えることも期待できます。大きな課題である人手不足解決の糸口にもなるメリットです。

サービスのクオリティが上昇することも期待できます。業務が効率化すればそれだけ物流をスムーズに進められます。そうすればお客さまに商品を届けるまでの時間を短縮したり、人的ミスによる誤出荷の減少、配送業務による商品の傷みを回避するなど、消費者にとってもうれしいメリットが生まれます。満足度の高いサービスはリピーターを増やすことにもつながるので、企業の利益をアップさせる大きなメリットとなるでしょう。

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3.物流効率化を実現するための5つのアプローチ事例

物流効率化を実現するアプローチとして「現場作業の見直し」「システムの導入」「ドローンによる配送」「宅配ボックスの利用による再配達削減」「物流業務のアウトソーシング」などが挙げられます。個別に詳しく確認していきましょう。

現場作業の見直し

物流効率化を目指す際は、まず現場作業の見直しから始めるのが基本です。普段当たり前に行っている業務でも、一度立ち止まって見直すことで無駄を発見できることがあります。基本となるのが製造業や小売業などでも活用されている「5S活動」です。これは「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」「清潔(Seiketsu)」「しつけ(Sitsuke)」の頭文字を取ったもので、品質やコスト、納期などを改善するために用いられる施策です。これは倉庫内作業の効率化にも十分に効果を発揮するので、取り入れてみましょう。

倉庫内のレイアウトを最適化することも大切です。倉庫のレイアウトは「I型」と「U型」に分類することができます。どちらも一筆書きのような動線にすることで、行ったり来たりする必要がなくなって作業効率をアップさせることができます。倉庫内作業の中でも、負担割合が大きいのがピッキングや梱包作業です。これらを最適化することで、物流効率化の実現につながります。ピッキングにはオーダーごとにピッキングを行う「シングルピッキング」と、複数受注ごとに行う「トータルピッキング」があります。扱う商品の種類や数によって最適な選択肢は変わるため、現場に適したものを模索することが大切になります。自分達だけで見直しが難しい場合は、外部コンサルタントなど第三者の目を入れるのもおすすめです。

システムの導入

倉庫管理を最適化するためには、システム導入が有効です。システムを導入することで、入荷から出荷、在庫管理といった倉庫内業務を一元管理し、効率化することができます。例えば「倉庫管理システム(WMS)」の導入によって、倉庫全体の作業進捗や在庫状況をリアルタイムに情報共有できるようになります。また、適正在庫の維持は、欠品による機会損失や廃棄ロスの削減にもつながります。

「配送管理システム(TMS)」は、商品の出荷から配送まで、輸配送をトータルに管理するシステムです。配車計画機能により車両削減や積載率・実車率の改善を実現できたり、運行管理機能で車両の動態把握がリアルタイムに行えるなど、さまざまな機能が搭載されています。また、配送状況の把握も容易になり、配達時間の変更などにも臨機応変に対応できるようになります。この他にも配達伝票を自動発行するシステムや、倉庫内の作業を自動化するシステム・ロボットなどいろいろなソリューションがあるので、自社に合ったものを選択することが大切です。

ドローンによる配送

小口配送の課題を解決するために考え出されたのが、ドローンによる空中配送という方法です。特に少子高齢化が進む山間部などの過疎地で有効だと考えられています。こうした地域は配送にかかるコストが非常に大きく、場合によっては配送事業の維持すら困難だというところもあるほどです。そうした地域でも無人で自立飛行が可能なドローンであれば、コストを最小限にしながら荷物を届けることができます。トラックドライバーの人手不足に対処できるだけではなく、交通状況による配送遅延や、トラック輸送によるCO2排出量増加なども回避することができます。

現在、自治体によりドローンを用いた物流サービスを導入するケースが増えています。例えばケーブルテレビのリモコンと連動して、注文した商品が受け取り場所に届くというサービスも登場しています。インターネットにアクセスしづらい世帯や世代であっても、自宅のテレビから注文できれば問題なく荷物を届けてもらえます。ただし、ドローンによる配送は課題も指摘されています。空中を飛んで荷物を運ぶため、安全性やプライバシー保護に関する問題をクリアしなければなりません。ドローンの商業利用における法規制なども活発に議論されており、今後も注意が必要です。

宅配ボックスの利用による再配達削減

個人向け宅配便の再配達対策として推奨されているのが「宅配ボックス」です。宅配ボックスに荷物を納めることができれば、受取人が不在でも再配達の必要はなくなります。顧客も自宅に待機して配達を待つ必要がなくなり、好きなタイミングで荷物を受け取ることができるので、配達員と顧客の双方にメリットがあります。

ただし、宅配ボックスを自宅に設置するのはお金がかかるため、普及率はそれほど高くありません。普及率を上げる取り組みとして「再配達を利用せず受け取ればポイント付与」「こども未来住宅支援事業など、宅配ボックスを設置すれば補助金を給付」などの動機付けを実施しています。また、スーパーやコンビニ、駅などに設置されている宅配便ロッカーの利用も、再配達対策として期待されています。「置き配」も同様です。2020年にAmazonが標準化した置き配は、玄関前や車庫、物置など顧客が指定した場所に、非対面で荷物を配達するサービスです。積極的な活用によって、再配達削減を目指す流れができつつあります。

物流業務のアウトソーシング

「そもそも物流業務に割けるスタッフが足りない」「繁忙期と閑散期の仕事量が違いすぎて、コスト配分ができない」など、自社の努力だけでは改善が難しい課題を抱えている場合、思い切って物流業務を外部委託することを考えてもよいでしょう。物流業務は手間やコストが大きいため、それをプロに任せることで、物流業務に割いていたリソースを他の業務に回すことが可能になります。プロの仕事なので仕事の精度は高く、時期によって荷量が変動しても、適切な人員を適切なタイミングで確保することができます。ただしアウトソーシングにはそれなりに費用がかかるため、導入コストや継続コストなどを踏まえた費用対効果については、事前に十分検討することが必要です。

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4.国土交通省が推奨している物流効率化とは?

物流効率化は、企業だけではなく国も取り組んでいる課題です。政府は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」を2005年に施行、その後2016年には改正を行いながら、物流効率化のための支援や認定を行っています。この法律で政府が推奨しているのが「輸送網の集約」「モーダルシフト」「共同配達」の3つです。物流業者が協力して効率化に取り組み、規定の認定条件に適合すれば、法人税や固定資産税の優遇や、事業許可の一括取得などのメリットを受けることができます。

「輸送網の集約」は、倉庫や物流センターなどこれまで散らばっていた物流拠点を集約し、配送ルートを減らす取り組みのことです。これにより配送に必要な車両数が減り、ドライバーの人数も減らせます。また、荷物が拠点に集まるので1台のトラックの積載率も上がり、効率的な運送が可能になります。

「モーダルシフト」は、トラックなどの自動車で行っていた輸送を鉄道や船舶に転換する取り組みです。鉄道や船舶などの輸送手段は、CO2排出などによる環境負荷が小さいため自然環境への悪影響を抑えられることに加え、最小限の人的コストで輸送が可能になるというメリットがあります。

「共同配送」は、共通の届け先を持つ複数の物流企業が協力し、互いの荷物を持ち寄って一度に運ぶという取り組みです。通常は各企業が倉庫やトラックを持っており、それを使って独自のルートで輸配送を行いますが、その場合は積載量が低い状態でトラックを動かすケースが増え、燃料費や人件費がかかります。倉庫やトラックを共同化することで、トラック1台当たりの積載量が増え、人件費や燃料代といったコストをカットすることができるだけでなく、CO2排出量の削減も可能になるのです。

5.物流効率化を実現したいならSGシステムにお任せ

物流業界では人手不足が慢性化しており、すぐにでも対策を打つことが求められています。一企業で完璧に対応することは難しいですが、まず現場作業の見直しを行い、必要に応じて物流システムやアウトソーシングの利用を検討するといいでしょう。また、物流総合効率化法による支援も頭に入れておきましょう。もし物流効率化を検討しているなら、「物流×ITのリーディングカンパニー」であるSGシステムにぜひ相談してみてください。

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