マテハンの意味とは?機器の種類や導入時の
ポイントを解説
膨大な商品を扱う物流業務において、効率化のカギを握るのは「マテハン機器」とされています。しかしマテハンと聞いても言葉の意味を正確に答えられない、あるいは具体的にどのような機器なのかイマイチ分からないという人も多いでしょう。本稿では始めにマテハンの概要やメリットなどを解説し、マテハン機器の種類・導入時のポイントなどについても詳しく掘り下げていきます。
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1.マテハンとはどういう意味?
マテハンとは物流や製造などの業界で使われる専門用語であり「マテリアルハンドリング(Material Handling)」を略した呼び方です。マテリアルは「物質」、ハンドリングは「取り扱い・操作・出荷」といった意味があります。JIS規格におけるマテリアルハンドリングの定義は「製造に用いる材料・部品・半製品などの物品の移動・搬送・取付け・取出し・仕分けなどの作業及びこれに伴う作業」です。概念として「モノの移動や運搬の効率化」と覚えておけば問題ありませんが、物流の現場においては一般的にマテリアルハンドリングを行う機器である「マテハン機器」をマテハンと呼ぶことが多いので留意しておきましょう。本稿でもマテハンは「マテハン機器」を意味する語句として使用しています。
一口にマテハンと言っても、モノの移動・運搬はその商品の大きさ・重さ・性質・倉庫内での管理方法などによって適切な取り扱い方が異なるでしょう。したがって、マテハン機器も用途に合わせてフォークリフトやベルトコンベアなど、さまざまな設備機器が存在しています。現代ビジネスシーンではECサービスの需要が高まっており、それに合わせてマテハン機器も進化している点は要チェックです。また労働力不足を補うために、無人搬送ロボット(AGV)やデジタルピッキングシステム(DPS)といった作業自動化ツールの展開も広がっています。
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2.マテハン導入によって得られるメリットと注意点
マテハンの導入は倉庫内作業全般を効率化させるだけでなく、人件費の節約にも効果が期待できます。しかしその一方で、マテハン機器が停止した際のリスクや導入コストは考慮しておく必要があるでしょう。ここではマテハン導入によるメリットと注意点について解説します。
メリット
マテハン導入の大きなメリットとしては、モノを持ち上げる・移動させるといった「人力で行っていた作業の効率化」が挙げられます。機械による省力化で現場の限られた人的リソースを適切に活用できるようになるのです。また、倉庫の規模や環境に合わせたマテハン機器・システムを導入すれば、仕分け・ピッキング・搬送といった作業に関しては自動化できるケースも少なくありません。これによって人件費が抑えられるため、中長期的に見ると結果としてコスト削減につながる可能性が高いと言えるでしょう。
マテハンの導入は各種税制優遇や補助金の対象となっているため、場合によっては経済的な恩恵を受けられる可能性があるというのもメリットです。有名なところでは中小企業庁が展開している「中小企業投資促進税制」や、環境省が取りまとめている「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」などが挙げられます。特に中規模以上の倉庫を運営している事業者にとっては心強い味方になってくれるので、自社が対象となる条件に当てはまるかチェックしてみてください。
上記のような経済的メリット以外では、現場作業員の負担軽減にも効果が期待できるでしょう。マテハン機器が現場に導入されると、重い荷物の運搬やスピード感と正確性を求められるピッキングなどが自動化・機械化されます。これにより従業員の肉体的な負担が軽減されるのはもちろんですが、不意の事故や作業ミス防止にも有効です。労働環境が改善すれば従業員のモチベーションが向上し、ひいては生産性アップにもつながっていくでしょう。
注意点
万が一マテハン機器にトラブルが発生した場合、倉庫や工場全体で業務が停止してしまうリスクには要注意です。物流は読んで字の如く「モノの流れ」を管理する業務となります。したがって、一部のシステムが利用不可になるだけでもモノの流れがストップしてしまい、届けるべき場所に商品が届かなくなるのです。マテハンのトラブルは大きな損失につながる可能性もあるため、メーカーのサポート体制は導入前にしっかりチェックしておくようにしましょう。
マテハン導入は結果として事業のコストダウンにつながる可能性がありますが、先行投資として導入コストがかかることを忘れないようにしましょう。マテハン機器の値段は種類によってピンキリですが、1台100万円を超えるような製品も珍しくありません。一時的な出費がかさむため、マテハンの導入はタイミングの見極めも重要です。
なお、マテハン機器やロボットに頼る業務形態の場合はシステム稼働率についても検証しておくようにしましょう。自動化・効率化のためにマテハンを導入しても、商品の出荷数によってはシステムの稼働率が下がってしまい、効果的にコストが下がらない可能性があります。例えば繁忙期と閑散期で出荷数が大きく変動するような商品を扱っている場合は要注意です。本当に必要なマテハン機器を見極めて、無駄のない設備投資を心がけましょう。
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3.マテハン機器の代表的な種類【作業工程別】
マテハン機器は多種多用な製品が展開されており、作業員が手持ちで使えるような小型のものから大型機械までバラエティ豊かです。ここからは物流現場における作業工程別に、代表的なマテハン機器を紹介していきます。
積み込み・積み下ろし作業
「積み込み」は倉庫から出荷する荷物をトラックに搬入する作業で、「積み下ろし」は逆にトラックから荷物を降ろす作業のことを指します。この2つの作業に共通してよく用いられているのが車両型機器の「フォークリフト」です。フォークリフトは車体前面下部にツメを備えており、荷物を高所に持ち上げたり高所から荷物を降ろすのに使用します。機種にもよりますが、一般的に数百キロ~数トンの荷物を扱うことが可能です。なお、運転には専門の免許が必要になるので留意しておきましょう。
積み込み・積み下ろし作業の自動化に便利なのが「パレタイザ」や「デパレタイザ」です。パレタイザは荷物を自動的にパレットへ積み上げるための機器で、デパレタイザはその逆にパレットから荷物を降ろす際に使用されます。どちらの機器も荷物に合わせてさまざまな形状のものが展開されているのが特徴です、また、オーダーメイドで比較的大型の「機械式」と、コンパクトなロボットアームを稼働させる「ロボット式」の2種類に大別されます。
倉庫作業において商品はコンテナに積み込んで移動することが多いです。搬入・搬出のためのベルトコンベアを倉庫内に接続したり、コンテナへの詰め込み・コンテナからの商品取り出しをサポートしたりするマテハンシステムには「バンニングシステム」「デバンニングシステム」が挙げられます。バンニングは詰め込み、デバンニングは取り出し作業のことです。このシステムでは詰め込み・取り出しにおける手作業やフォークリフト作業の削減が期待できます。
倉庫内運搬・搬送作業
広大な倉庫の中で商品を運ぶためには、倉庫内運搬・搬送作業が必要です。これらは特定の地点から別の地点へ荷物を運ぶ作業であり、積み込み・積み下ろし・仕分けなど倉庫内業務同士をつなぎ合わせる役割を担っています。一般的には荷物を一定速度で移動させるためのマテハン機器である「コンベア」が用いられており、ベルト式・チェーン式・ローラー式など種類はさまざまです。
コンベアは地面に設置するタイプのマテハン機器ですが、倉庫の環境によっては設置面積が確保できない、あるいは上部の空きスペースを有効活用したいというケースもあるでしょう。そんな時におすすめなのが、天井にレールを敷いて自動で荷物を運搬する「天井走行車」と呼ばれるマテハン機器です。コンベアや天井走行車は倉庫内運搬・搬送作業の他にも、ピッキングや仕分けで活用されることがあります。
技術の進歩によって人の力を借りずに荷物を運ぶ「無人搬送ロボット(AGV)」の導入事例も増えました。AGVは床に磁気テープや磁気棒をレールのように配置して、そのルートに沿って無人走行するのが基本的な原理です。また、一部のメーカーからは先端技術を活用したAI搭載の自動搬送ロボットもリリースされています。AI搭載型ロボットはAGVのようにレールに沿った動きではなく、自立して製品を運搬したり作業者に追従して走行したりなど柔軟な活動が可能です。
仕分け作業
倉庫における仕分け作業は、出荷先別に荷物を分けたり、部品や原材料を現場別に分けたりする作業であり、取引先との信頼関係を大きく左右します。したがって、マテハン機器による業務効率化や人的ミス削減が重要になるポイントと言えるでしょう。仕分け作業はベルトコンベア上で行われるケースが多いものの、一般的な運搬用ベルトコンベアは仕分けに適していません。これは途中でコンベアが枝分かれしていても、荷物が直進以外の進路を取ることができず、正確な仕分けが困難なためです。コンベアを仕分け作業に活用する場合は、基本的に「ソーター」と呼ばれるマテハン機器とセットになります。
ソーターは仕分けを自動化するマテハン機器で、搭載されたカメラやセンサーを用いて、まず商品に貼られたバーコードを読み取ります。読み取った情報に応じてソーター自身が仕分けを行い、枝分かれしたコンベア上でも正確な出荷先へ荷物を移動させることができるのです。ソーターにもスライドシュー式・パン式・クロスベルト式・ポップアップ式などさまざまな種類があるので、仕分けする商品に応じて適切なものを選びましょう。ソーターとコンベアの組み合わせは、仕分け作業を効率化させるための黄金タッグとして推進されています。また、仕分け作業の中でも特に手間のかかる作業は「ラベリング」ですが、印刷や貼付作業を自動化する「オートラベラー」と呼ばれるマテハン機器もリリースされているのでチェックしてみてください。
保管作業
倉庫では商品を適切な方法と環境で格納しておく保管作業も必要になりますが、一時的・短期的・長期的など保管しておく期間は商品や取引先によってまちまちです。保管作業は商品保護という意味でも重要ですが、必要なものがどこにあるか正確に把握して、いつでも移動できるようにしておくことが求められます。そんな保管作業に役立つ代表的なマテハン器機としては「自動倉庫」が挙げられるでしょう。自動倉庫はパレット・コンテナ・段ボールといった商品を積み込んだ入れ物を、自動で保管棚に運搬する機能が備わっています。
通常、倉庫内では人が通ったり荷物を運搬したりできるよう、棚同士の間に一定のスペースが必要になります。そのため、通行スペースに圧迫されて保管スペースが狭くなってしまうというケースも散見されました。自動倉庫であれば入庫から出庫までの作業を機械が自動的に遂行するため、人が棚の間を通行するためのスペースが必要なく、保管スペースにゆとりを持てるという点が大きなメリットです。
倉庫の面積にあまりゆとりがないといった場合は「移動ラック」がおすすめです。移動ラックは棚自体が床のレールに固定されているため、必要に応じて棚を移動できるという便利なマテハンとなっています。棚を隙間なく設置しても問題なく商品の出し入れができるので、スペースを最大限に活用することが可能です。なお、移動ラックにも手動式や電動式などの種類があります。
出荷作業
商品を顧客に送り出すためにピッキング・仕分け・梱包などを行うのが出荷作業です。出荷先に合わせた細かい作業が必要になるため、効率化させたい業務に応じたマテハン機器の選定がキーポイントになります。例えばピッキング作業の効率化に有効なマテハンが「デジタルピッキングシステム(DPS)」です。DPSは保管場所の表示器を点灯させ、作業者が目的の商品まで迷わず辿り着けるようにします。商品をあちこち探し回る必要がなくなるため、ピッキング作業の無駄を省くことができるでしょう。
包装作業の多い現場であれば、機械が自動で段ボールを組み立ててくれる「自動製函機(ケースフォーマー)」の導入を検討してみてください。折り畳んで保管している段ボールを全て手作業で組み立てると、結果的に膨大な時間を要することになります。こうした反復的かつ機械的な作業をマテハンに任せることが、業務効率化の近道です。出荷作業において誤配送が多いようなら、ベルトコンベア上で配送物の寸法・重量を正確に測定する「DSWシステム」が解決の糸口になるでしょう。DSWは「Dimensioning(寸法)」「Weighing(計量)」「Scanning(スキャン)」の頭文字を取った略称であり、人的ミスの予防に効果的です。
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4.マテハン導入時に意識したいポイント
マテハン導入を検討するにあたっては、まず始めに「何を解決したいのか」を明確にしておきましょう。先に述べた通り、物流業務にもさまざまな種類があり、課題解決に適したマテハン機器はそれぞれ異なります。いきなり全ての業務を自動化・効率化しようとしてマテハンを導入しても、全作業で効果的に働くとは限りません。場合によっては導入コストやランニングコストに見合った結果が出せず、かえって赤字になる可能性もあるでしょう。大切なのは優先順位を決めた上で、順番に着手していくスモールスタートの意識です。
小規模倉庫の場合は特にコストパフォーマンスに注意を払うよう心がけてください。現場の業務負担軽減や業務効率化が実現しても、コストが過度な負担になってしまってはあまり意味がありません。マテハン導入前には「月間の人件費削減目安」「維持費・管理費の金額」「導入コストの回収目安年数」などの費用対効果を入念に検証することが大切です。
また、マテハン機器には購入だけではなく、レンタルサービスやリースといった選択肢もあるので視野に入れておきましょう。初めてマテハンを導入する場合は、どのようなマテハン機器を導入すればよいのかわからないというケースも珍しくありません。そもそも社内の人的リソースが不足しているなど、自社でのマテハン導入が困難であるならば、物流のアウトソーシングも検討の余地があるでしょう。
5.マテハン機器の導入で困ったときはSGシステムに相談を
マテハンは作業効率化・人手不足の解消といった効果が見込めるだけでなく、人的ミス削減も期待できます。本稿で紹介した内容も参考にしながら、自社に合ったマテハン機器の導入を検討してみてください。「自社の課題点が明確でない」「どのマテハン機器を導入すべきか分からない」など、マテハン導入に関する悩みがあれば、SGホールディングスグループのIT統括会社として、佐川急便をはじめとするグループ会社のIT活用をリードしてきた、実績豊富なSGシステムに相談してみましょう。
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